アスリートの食事、スポーツ栄養
おすすめな無農薬米の岩船産コシヒカリ
意外と知られていませんが、ご飯にはたんぱく質など、たくさんの栄養素が含まれていますよ!
ご飯(精白米)1杯分(150g)の栄養価
- 栄養成分
含有量 - 主な働き
他の食品で摂取する場合の量 - エネルギー
234kcal 体や体の組織を動かす
食パン 100g 248kcal(6枚切りで約2枚)分
- 糖質
55.7g 炭水化物に含まれるエネルギー源
じゃがいも 小3個分
- たんぱく質
3.8g 血や肉、細胞など体の基本をつくる
牛乳 130cc 分
- 脂質
0.5g 脂肪に含まれるエネルギー源
食パン 1/3枚分
- ビタミンB1
0.03mg 体の調子を整え、夏バテを防止する
キャベツ 100g 分
- ビタミンB2
0.02mg 体の調子を整え、美肌をつくる
大根 200g 分
- カルシウム
5mg 骨や歯をじょうぶにする
プチトマト 3個分
- 鉄
0.2mg 血液のもと。不足すると貧血に
とうもろこし 1/3本分
- マグネシウム
11mg 肩こりや動脈硬化を防ぐ
グリーンアスパラガス 5本分
- 亜鉛
0.9mg 皮膚の再生を助ける
ほうれん草 1/2束分
- 食物繊維
0.5g 便秘やガン、成人病を防ぐ
レタス 1枚半
「八訂日本食品標準成分表(2020年版)」より算出
「他の食品で摂取する場合の量」を見ていきますと、小さい茶碗一膳分に、これだけの栄養素が含まれていることがわかります。
ごはん一膳のパワーは、単なる炭水化物ではないのです。
身体を作るたんぱく質
たんぱく質は、20種類のアミノ酸が多数、複雑に重合した(つらなった)ものです。
20種類のアミノ酸のうち、体内で合成することができないもの、あるいは合成されてもそれが必要量に達しないため、必ず食物から摂取しなければならないものを、必須アミノ酸といいます。
漫然と食事をしていては、必須アミノ酸を摂取できませんから、何を食べるか、が大切になります。
食品のたんぱく質の評価には、アミノ酸スコアが使われます。
単一の食品で考えるのでなく、食品の組み合わせでアミノ酸スコアが高くなるかを考えましょう。
アミノ酸スコアを考える時、桶に例えられることがあります。桶を構成する板の長さを、必須アミノ酸の値で表現しています。
【食品中たんぱく質のアミノ酸スコア】
その桶の中に水(栄養素)を入れますと、一番低い板まで水(栄養素)が流出していまい、全体は低いものに影響されることになります。
さて、お米の栄養を見てみると、「リジン」を除き100以上の値です。リジンだけが少ないですね。
ところが、リジンをたくさん含んでいる味噌汁を1杯飲むと、このリジンの値が100を超えます。
日本人が長年食していた「ごはん と 味噌汁」は、必須アミノ酸を100%のバランスで摂取できる(食べた全量が使える栄養素である)パーフェクト食品だったのです。
栄養補助のサプリメントに頼ることなく、しっかりと、ごはんを食べて、身体を作りましょう!
味噌汁は、一日一杯は摂りたいですね。
スポーツをする人の基本的な食事(内容と必要量)
「バランスよく食べる」が基本となりますが、必要なエネルギー量と各栄養素を過不足なく含んだ食事をイメージしましょう。
具体的には、主食、主菜、副菜、汁物、牛乳、果物をそろえた基本パターンをイメージして、コンビニやスーパーで食材をそろえる時にも注意してみましょう。
特に「牛乳」と「果物」を意識して。 スポーツアスリートがよく利用するホテル、旅館の朝食には、「牛乳」と「果物」が出てきますね。管理栄養士さんのアドバイスが効いているのでしょう。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、平均的な体格で普通の生活をしている18~29歳の男性で2,650kcal、女性で2,000kcalが推定エネルギー必要量とされています。
私の担当種目であるアルペンスキーの場合、トレーニング期では、エネルギーの消費量が高く、4,500~5,000kcal/日くらいになります。
スポーツをする子ども(身体活動レべル3)の推定エネルギー必要量を見ますと、
【男の子】
<小学3年生> 8~9歳(身体活動レべル3)2,100kcal/日
<小学5年生> 10~11歳(身体活動レべル3)2,500kcal/日
<中学生> 12~14歳(身体活動レべル3)2,900kcal/日
【女の子】
<小学3年生> 8~9歳(身体活動レべル3)1,900kcal/日
<小学5年生> 10~11歳(身体活動レべル3)2,350kcal/日
<中学生> 12~14歳(身体活動レべル3)2,700kcal/日
と、推定されています。
これをお父さん、お母さんが普通の活動(身体活動レベル2:座位中心の仕事だが、職場内の移動や立位での作業・接 客等、通勤・買い物での歩行、家事、軽いスポーツ、のいずれかを含む場合)をされるとして比較してみると、
<お父さん> 30~49歳(身体活動レべル2)2,700kcal/日
<お母さん> 30~49歳(身体活動レべル2)2,050kcal/日
と、推定されており、スポーツをする子どもの場合は、お父さんとほぼ同じ量の食事が必要と言えます。
さらに、スポーツをする両親の場合(身体活動レベル3:移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合)は、
<お父さん> 30~49歳(身体活動レべル3)3,050kcal/日
<お母さん> 30~49歳(身体活動レべル3)2,350kcal/日
と、推定されています。スポーツの種目によっては、これ以上の摂取が必要となります。
たくさん練習をして高いパフォーマンスを目指すなら、しっかりと食事を摂ることも、成長計画に加えて、実践していかなければなりません。
スポーツをする方は、体重や体脂肪を毎日計測し、体重の増減を確認しながら、摂取エネルギーの総量を調整していきましょう。
スポーツをする成長期にある子どもの補食について
運動直後にプロテイン(タンパク質のみ)を摂るも良いですが、「おにぎり2個とオレンジジュース」を摂ることもオススメします。
おにぎり2個であれば、上記表の2倍近くまで、いろいろな栄養分を摂取することができます。
こちらのページでは、スポーツアスリートの育成(成長期にある子供たち)に役立つ栄養に関連する内容をお伝えできたら、と思っております。コーチの方や、親御さんに是非ご一読いただければ幸いです。
特にお子様の成長は1度限りですから、食事のタイミングなどを含め、摂取量なども考えながらトライしていただきたいと願っております。
スポーツのパフォーマンス向上については、その種目の「技の向上」についつい目がいきがちですが、運動パフォーマンスは、その人の身体があって初めて成立します。
いわゆる「心技体」と言われるとおり、「心」と「体」の成長の上に「技」が構築されて、大きなパフォーマンスが発揮されます。
また、子供のスポーツ、特に、コーチや親御さんが大会の勝利など結果を求めていませんか?
どう動けばよいかをイメージすること(心)、動ける体づくり(筋肉や関節の可動範囲の向上、敏捷性などのレスポンス)、怪我の予防にもつながるストレッチ(筋肉の可動範囲の向上も含む)などがあり、その上で筋肉の増大による筋パワーが加われば「技の向上」が期待できます。これらの過程がその人の成長を促します。
スポーツを通じて、子どの成長や大人の役割など、考えてみませんか?
<参考:クリックすると別ウインドウが開きます。>
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
竹川 章彦
1961年生まれ
全日本スキー連盟 B級コーチ(アルペン)
日本スポーツ協会 コーチ3
スキー指導者の研修、育成に携わっています。